いわゆる「五十肩」のように、肩がうごかしづらい、一定の動きをすると痛い。
当院にもそんな患者さんが多く来院されます。
よく聞かれる事の一つに、『痛くても我慢して、よく動かした方がいいんですよね』…といったものがあります。
恐らく、そのままにしていると、肩が動かなくなってしまうのでは?といった不安から、そのように考えるのだと思います。
これは時に正しくもあり、時に誤っています。
「肩が挙がらない」といった患者さんの状態は大きく3つに分けられます。
1つ目は、「腱板損傷」
肩甲骨と上腕骨をつなぐインナーマッスル…いわゆる「腱板」が断裂等の損傷を起こしている状態です。
完全に断裂している場合は手術が必要となりますが、部分断裂等の場合は「保存療法」での改善がみられる場合があります。
この場合、過度に動かしてしまうと、逆効果になる場合があります。
テーピングでの固定、三角巾で吊る…等で、動きを抑え様子を見てから、動かす必要があります。
2つ目は、「石灰沈着性腱板炎」
夜間を中心に突然生じる激烈な肩関節の疼痛で始まる事が多いです。あまりの痛さに動かす事は困難となります。医療機関において、腱板に針を刺して沈着した石灰を破り、吸引する方法がよく行われています。
3つ目は、上記二つ以外の「いわゆる五十肩」「肩関節周囲炎」です。
この場合のみ、肩甲骨の位置の確認、脊椎の可動域、痛みの原因である筋肉の特定を行った上で、適切な動きを自動的、多動的に行う必要があります。
POINTは「適切に」…であり、「適当に」「やたらに」動かす事は、逆効果になったり、治癒を遅らせる可能もあります。
放置をしていても、1年位で治癒することもありますが、痛みを我慢して動かしてきたために、体のバランスが崩れ、「歪み」につながる可能性もあります。
我慢をせずに、お早めに専門家の治療を受ける事を、お勧めいたします。