こんにちは!
早いもので9月に入りました。
まだまだ暑い日は続きそうですが、夏の終わりを感じます。
今日は『問診』や『触診』について書いてみようかと思います。
今でこそ、『問診』や『触診』に時間をかけて、患者様の症状における様々な情報を得ることが、治療にとって絶対必要であり、当然の事のようになりましたが、恥ずかしながら治療の世界に入ったばかりの私は、そうではありませんでした。
最初に勤めた接骨院では問診は基本的に院長先生が行っていましたが、待合室で簡単に症状を聞くだけで、あまり印象に残ってはいません。
次に勤めた整形外科では、リハビリルームに指示書が送られてきて、そこには超簡単な電療の指示のみ書かれていて、電療が10分終わったら、5分主訴をほぐす…といったものでした。
その次に勤めた接骨院では、『問診はできるだけ短く、サッと電気つけて、とにかく早く待合室の患者さんを入れるように』…と指示されました。
問診も簡単に済ませ、触診は痛みの個所を確認する位、そしてすぐに物理療法(電療:低周波)を行い、終わり次第10分程度の手技を行い、また次の患者様へ…といった感じでした。
それぞれの治療院や病院が悪かった…というより、そのような流れで治療を行っている施設が多かったのではないかと思います(特に保険診療)。
当初から違和感を感じていたものの、気がついたら私自身もそのような流れに乗ってしまっていた時期があったのも事実です。
また一時期通っていた民間の整体学校では、多くの場合『腰痛にはこの手技』『この流れさえマスターすれば、とりあえずチェーン店のサロンでは働ける』ような感じで、手技の習得にほとんどの時間を費やし、問診の重要性を説いた先生はあまりいなかったような気がします。
また、いわゆる徒手による整形外科テストも、プリントを渡されただけで終わったか、卒業試験の為に形だけ覚えました。
臨床の現場での話に戻ります。
そんな感じで、まともに問診や触診をしないので、腰痛ならこの手技、五十肩ならこの手技…のまるでマニュアルのような治療を行っていました。
当然、その『マニュアル治療』に原因が合った患者さんは治りますが、合わない患者さんはいつになっても治らず
腰痛であれば、筋・筋膜性のものなのか、仙腸関節性のものなのか、はたまた足関節の捻挫等による歩行の変化等から負担がかかって痛みが生じているのか…等、原因によってアプローチが違うのは当然の事。
『なんとなく腰が張って疲れを感じる』…ようなものであれば、腰周辺の筋肉をよくほぐす事で事足りるかもしれませんが、ハッキリと痛みを訴えて来院される患者様に対し、痛みの原因を限定できる材料がある『問診』や『触診』を外す事は出来ません。
現在、当院では特に初診の患者様においては、少し長めのお時間を頂いて、問診、触診から見えてくる体の状態を説明、そして痛みの原因の仮説を立てて、それに対する治療の提案を行い、初めて治療に入ります。
治療の仕事に携わるようになり約20年になりますが、まだまだ未熟であり、第一の仮説では治癒にいたらず、第二、第三…と仮説を立てて治癒に至る事もまれにあります。
でも人の体は一人一人違うので、原因がいくつも考えられるのは当然。治療の引き出しを増やすのはもちろんの事。どの引き出しを開けるかを決める為の問診力や触診力を磨いてまいりたいと思います。