先日、スタッフミーティングを行い、様々な問題を話し合い、その後実技の勉強会となりました。
それぞれのスタッフが患者さんを治療をする中で、わからない事や悩んでいる事を聞き、それに対する私なりの考え方、手技を提案・紹介していきました。
そんな中、一人のスタッフが『院長が難しいと思っている症状等は?』と聞いてきました。
正直、どれも簡単なものなんてないです。
例えば、同じ症状でも原因は人それぞれですので…。
その中でも、あえて一つと言われたので、あくまでも現時点ですけど『肩』と答えました。
ここでの『肩』は、いわゆる『肩こり』ではなく、例えば五十肩等で肩が挙がらない、もしくはスポーツの動作で肩を痛めた…等の肩の機能性回復における治療をさします。
なぜ?肩が難しいと答えた理由の一つに、肩の自由な可動域を可能とする組織が、複数の組織で構成されている事が挙げられます。
私が子供の頃に持っていたウルトラマンのフィギアは、非常に可動域が制限されていて、いわゆる屈曲(バンザイの形)と伸展(後ろに伸ばす)の動きしかできず、もちろん肘を曲げる事も出来なかったので、必殺技のスペシウム光線のポーズが出来ないことにイライラした記憶があります。
余談ですが、最近のフィギアは可動域が確保され、様々なポーズができるようで驚きです 笑
恥ずかしながら、筋トレでベンチプレスに興味をもって専門書を見始めた高校生のころまで、鎖骨や肩甲骨、そして肋骨までが肩の可動に関与しているなんて考えたことがなかったような気がします。
話は逸れましたが
肩は、他の関節よりも、自由に動く可動域が確保されています。
それは、肩が複数の関節によって構成される、『肩関節複合体』とよばれる組織だからこそ可能な事です。
子供の頃遊んだウルトラマンのフィギアのように、体に腕が直接ついているわけではなく、先ほど述べた鎖骨や、肩甲骨と上腕骨が関節を作り、さらに肩甲骨は肋骨と関節を作っています。
そこに様々な筋肉や靱帯が付着して、自由で複雑な動きを作り出しているのです。
肩を構成している関節や筋肉は、様々なものがあり、それぞれの役割がありますが、仮に一つの組織が障害等で上手く動かせなくなったとしても、複数の組織でカバーしあって、ある程度の動作ができるようになっています。
これが肩関節複合体の素晴らしいところであり、逆に痛みを起こしているターゲットを絞りにくくしているとも言えます。
ラグビーや格闘技でのコンタクトスポーツ等による外傷でしたら、レントゲンやMRIといった画像検査でも、その原因は明確に判断できるかもしれませんが、いわゆる五十肩等の何気ない日常生活の継続によるものだと、なかなか判断は難しい場合があります。
さらに、背中を丸めた状態だと誰もが腕を挙げずらくなるように、いわゆる肩の関節だけではなく、姿勢や体幹が関与する場合もあり、それは骨盤や下半身の状態から影響を受けているものも多いのです。
それを踏まえ、当院の肩関節の可動域不全や拘縮の患者様の治療は
1)痛みを引き起こしている直接的原因の組織を推察し治療を行う。
当初に述べましたが、痛みを引き起こすターゲットとなる組織が複数に至ることがほとんどで、症状が改善されない場合は、その都度別の箇所の推察と治療を繰り返し行っていきます。
2)『治療を行った後は可動域と痛みが改善するが、またすぐに元に戻る』…といったことが続く場合、体幹や姿勢、骨盤等の不具合が関連していると考え、治療範囲を広げる
…と、いった感じで行っております。
もちろんこれには、痛くなった時期(急性期か?慢性期か?等)や、状態の経過がとても大切ですので、問診と触診を十分に行いながら、患者様にできるだけ負担がかからないように治療を進めてまいります。
肩の痛みでお悩みの方は、是非一度お気軽にご相談下さい。